名前の説明文

小学生くらいの時、担任の先生に、君たちの名前の由来を聞いてきてくれたまえ、と言われたので、我が母に聞いたのだが、あまりはっきりとした由来はなかったようで、自分で漢字の意味を調べて由来をでっち上げた覚えがある。後で聞いた話だが、どうやら命名を外注していたようで、馴染みの坊さんにつけてもらったらしい。そのせいか、私の爺さんの親父さんの漢字が使われているようだ。その人とは面識がないが、伝え聞かされた話では、結構なお人好しであったようで、土地やら何やら色々失ったらしい。若干私にも、そういう性向はあるのだが、爺さんの親父をよく知っている、爺さんその人の評価では、私はいくらかはマシに手堅いケチに育ったらしい。
さて私の息子たちの名前は、私が主に考えてつけた。妻の好みもいくらかは反映されてはいるが、最終的に決めたのは私であった。結局この子たちにしてやれることは、名前をつけてやったことで、悲しいかな、もしかしたらお終いかもしれないので、まあ何時か学校の先生たちにその由来を聞いて来なさいと言われた時のことを考えて、ここに記しておこうとするか。
「カッパしゃん(仮名)」の場合。まああれだ、辞書でその文字を調べてみると、現象という意味がある。いろいろな現象事物をかたどって抽象して記号化した物、それが喜ばしいという意味だな君の名は。吉兆くらいの意味でもいいけど。とにかく、君に会えてうれしかったんだ。
「たぬき君(仮名)」の場合。文字の意味は、「ものすごく大きい」と「素早い」。サッカー選手でも何でも、大きくて速いというのはなかなか得難いものなのですよ。君に期待して、ちょっと名前を欲張ってみたのです。義父は天道よしみをみて、天は二物を与えずやナあ、といつも言うらしいのですが、両立の難しい、なかなか相容れない要素を包容した奥深い人間になってほしいな〜という期待を込めてみました。二天くらいの意味です。