近所の野良犬

「人のせいでその意に反して誇り高きオオカミから我ら犬が生まれたんだワーン、だから逆らわない方が身のためだワン、おとなしく食パンをよこせニダ」と、近所の野良犬どもはワンコラワンコラ吠えている気がするが、オレあれ嘘だと思う。確かに大きくて賢い犬たち(彼らは比較的寿命が短いらしいな)はオオカミの末裔かもしれないが、ちょろちょろとたむろする、好きな食べ物はときどきもらえる食パン、主食は田んぼのミミズと肥料その他のウンコ類と見える野良犬たちを見ていると、それは嘘にしか思えない、彼らはきっとアンノウンのドブネズミ的ハイエナ的スカベンジャーが先祖であろう。それでも彼らは望むと望まざるに関わらず進化或いは退化、とにかく変化していく、近親相姦を繰り返し閉じた世界に自由を見いだして。半年に一度発情し、交尾し子を生む自由。その為か、子がまともに育たず、増えずに、カワイソウ或いはカワイイという人間に餌をもらい、減らず。生きる生きない自由。遠くを走る救急車や、ゾクのアイドリングに不安なのか、共感するのか遠吠えを繰り返す、野良犬たち。その親に似て上手く吠えるものなし。「キャヲヲーン」とばかり。あれは吠えるとは言わない、腹がたつのだが笑える。